AOP ピヨ教材 ・ リズム編

④ 裏拍とシンコペーション
― 拍と拍の「あいだ」を歌う ―

裏拍(うらはく)ってどこのこと? シンコペーションってなに? を、表打ち⇔裏打ちを切りかえられるグリッドで体感する回

③で拍には「重さ」があると知ったシカ。第4回はさらに細かく、拍と拍のあいだの話。 「12…」の「」=裏拍に音を置けるようになると、 ポップスやゴスペルの譜割り(ことばの乗せ方)が読めるようになるシカ。
カシカ
カシカ
声のしくみにくわしい先生。語尾は「〜シカ」。やさしく導くシカ。
ピヨ鳥
ピヨ鳥
学ぶ気まんまんの生徒。語尾は「〜ピヨ」。ときどき大胆にボケる。
📌 0. まず30秒まとめ
ピヨ鳥

裏拍……拍の裏側ってことは、地球の反対側で誰かが打ってる拍のことかピヨ? ブラジルの拍ピヨ?

カシカ

もっとずっと近くシカ(笑)。拍と拍の「まんなか」のことシカ。30秒まとめシカ。

  • 表拍(おもてはく)=「1、2、3、4」と数える場所(拍のあたま)。裏拍(うらはく)=拍と拍のちょうどまんなか。「1234」と数えたときの「」シカ。
  • ①のグリッドでいうと、拍のあたまのマスが表、そこから2マスあとが裏(8分音符1個ぶんうしろ)。
  • 音を表に置くのが表打ち、裏に置くのが裏打ち。同じ数の音でも、置き場所でノリがまるで変わるシカ。
  • シンコペーション=裏で鳴らした音をのばして、次の表拍を「食う」書き方。ポップスのメロディはこれだらけシカ。
🪙 1. 表拍と裏拍 ― 「1と2と」の「と」
ピヨ鳥

「1と2と」の「と」って、②のときも数えてたピヨね。あれはただの口ぐせじゃなかったのかピヨ?

カシカ

口ぐせどころか、ちゃんと住所のある場所の名前シカ。①でやったとおり、拍を半分にわると8分音符のながさになる。拍の前半分のあたまが「表」、後半分のあたまが「裏」シカ。

表拍と裏拍の住所 ― 16マスの上で 1 2 3 4 表=拍のあたま 裏=まんなか 表から2マスあと(8分音符1個ぶん)が裏 数えるときは「1 と 2 と 3 と 4 と」。●が表、○が裏
🦌 カシカの図解:裏拍は拍と拍のちょうどまんなか。グリッドなら「拍あたまから2マスあと」に必ずいるシカ。

②の「タン・ウン・タン・ウン」を思い出すシカ。あのとき「ウン」と黙ってた場所——あれがちょうど裏拍シカ。つまりピヨ鳥はもう、裏拍の場所で黙る練習は済ませてあるんだシカ。

今日はそこで黙るかわりに、鳴らしてみる回シカ。

🏓 2. 表打ちと裏打ち ― 置き場所でノリが変わる
ピヨ鳥

黙ってた場所で鳴らすだけで、そんなに変わるものかピヨ? 2マスずれるだけピヨ?

カシカ

その「たった2マス」が大ちがいシカ。同じ「4つの音」を、表に置くか裏に置くかでくらべるシカ。

表打ち と 裏打ち ― 音は4つのまま、住所だけ引っこし 表打ち 1 2 3 4 拍のあたまにピッタリ乗る → どっしり・行進・③の頭打ちと同じ場所 裏打ち 1 2 3 4 拍のあいだで鳴る → はずむ・軽い・スカやレゲエの「チャッ」
🦌 カシカの図解:音の数もながさも同じ。住所を「あたま」から「まんなか」へ2マス引っこしただけで、どっしり⇔はずむが入れかわるシカ。

裏打ちの音、じつはあちこちで聞いてるシカ。スカやレゲエのギターの「チャッ・チャッ」、ポップスのハイハット(シンバルの「チッ」)、盆踊りの合いの手の手拍子——ぜんぶ裏シカ。

ピヨ鳥

図だとわかった気になるけど、②で「ウンの間じっとしてるのは難しい」って学んだピヨ。裏打ちって、表で黙って裏で鳴らすんだから……もっと難しそうピヨ! 触って確かめたいピヨ!

🎧 3. 表⇔裏切りかえマシン
カシカ

②のマス消しマシンの再登場シカ! うたの段はタップで空→タ→ーと書きかえられる。おてほんチップに表打ち・裏打ち・シンコペを用意したシカ。

🥁の拍ガイドが「表」を教えてくれるから、🥁と🥁のあいだを狙えば裏打ちになるシカ。

🏓 表⇔裏切りかえマシン

「▶ ならす」で1小節がループするシカ。うたの段はタップで 空 → タ → ー の順に切りかわる(鳴らしたままでOK)。まず「🎵 表打ち」→「🎵 裏打ち」の順にきき比べるシカ。

おてほん:
テンポ:

💡 裏打ちにすると、🥁とうたが「かわりばんこ」に鳴るのがわかるシカ。ズレそうになったら、②の合言葉——「1と2と…」と数え続ける——を思い出すシカ。「🍴 シンコペ」は§4のお楽しみシカ。音が出ないときは端末のマナーモード・音量を確認シカ。

ピヨ鳥

裏打ちにしたら、🥁「ドン」うた「タ」🥁「ドン」うた「タ」……ほんとにかわりばんこピヨ! 卓球のラリーみたいで、なんだかはずむピヨ!

カシカ

いいたとえシカ。表打ちは🥁といっしょに踏む音、裏打ちは🥁のあいだに返す音。ラリーになるから、はずんで聞こえるんだシカ。

で——さっきから気になってるはずの「🍴 シンコペ」ボタン。あれを説明するシカ。

🍴 4. シンコペーション ― 裏から「食う」
ピヨ鳥

もう押しちゃったピヨ。なんか……つんのめりそうで、でも気持ちいい、ふしぎなリズムだったピヨ。あれは何が起きてるピヨ?

カシカ

シンコペーション裏で鳴らした音を、そのまま次の表拍までのばして「食っちゃう」書き方シカ。現場では「食う」「前ノリ」なんて呼ばれるシカ。

道具はもう全部持ってるシカ。裏に置いた「タ」(今日)を、「ー」でのばす(②のタイ)。それだけで、本来なら表拍で鳴るはずだった音が、半拍(2マス)早く始まることになるシカ。

シンコペーション=裏で鳴らして、次の表を食う 拍2拍3拍4 ふつう ター(表から) ター(表から) 音のあたまが拍線にピッタリ シンコペ ター(裏から) ター(裏から) 🍴 拍2を食った! 🍴 拍3も食った! 音のあたまが半拍(2マス)早く出て、拍線をまたいでのびている=「食う」
🦌 カシカの図解:ふつうは拍線から鳴りはじめる音を、半拍早くスタートさせて拍線をまたがせる。これがシンコペーション(食う)シカ。

効果は「いい意味の裏切り」シカ。聞き手は「次の拍のあたまで音が来るぞ」と待ちかまえてる。そこへ半拍早く音が来るから、おっ、と前へ引っぱられる推進力が生まれるシカ。

ポップスやゴスペルのメロディの歌い出しやサビは、このシンコペーションだらけシカ。「歌詞のこの音、なんか予定より早く来るな?」と思ったら、だいたい裏から食ってるシカ。

ピヨ鳥

プレゼントを予定より半日早く開けちゃう感じピヨね! ちょっとルール違反なのに、そこがワクワクするピヨ。

カシカ

まさにそれシカ(シカシカシカカカカ)。ただしワクワクさせるには条件があるシカ——「本来の拍線がどこか」を歌う本人が見失わないこと。

拍線あってこその「食う」シカ。だから③までの「数え続ける・重さの地図をキープ」が、そのままシンコペーションの土台になるんだシカ。

🧭 5. 裏拍がわかると何がうれしい?
ピヨ鳥

これでリズム編の道具がまた増えたピヨ。整理してほしいピヨ!

カシカ

リズム編の地図はこうなったシカ。

  • ①ものさし:拍・小節・16マスのグリッド
  • ②書き方:タ(鳴らす)・ー(のばす)・空(休符)
  • ③重さ:強拍・弱拍、2・4のバックビート
  • ④住所:表と裏、そして裏から食うシンコペーション

うれしさの本命は譜割りが読めるようになることシカ。「この歌詞、なんかノリよく聞こえる」の正体を、「ここの『タ』が裏に置いてある」「ここで食ってる」とマスのことばで指させるようになる。

クワイアで「そこ、食い気味に入って」「そこは裏まで待って」と言われたとき、体で迷わず動けるのは大きいシカ。

次回はいよいよリズム編のラスボス、マスを「3つ」にわる世界——3連符(さんれんぷ)とハネるリズムの話シカ。16マスのグリッドがはじめて姿を変えるシカ。

🎵 きょうからできる練習 ― 裏を体に入れる

①「1と2と3と4と」と声に出しながら、「と」のところだけ手拍子(裏打ちクラップ)。声の数字と手がかわりばんこになれば成功シカ。②好きな曲でハイハットの「チッ」やギターの「チャッ」を探して、いっしょに裏を叩く。③マシンの「🍴 シンコペ」を鳴らしながら、いっしょに「タ・ター・ター…」と口ずさんで、食う感覚をまねしてみるシカ。

グリッドと楽譜が同期して動くリズム訓練アプリ「リズム+」なら、裏拍・シンコペ入りのパターンもたくさん叩けるシカ。

🥁 リズム+ をひらく
✅ 6. たしかめクイズ
カシカ

3問チェックシカ!

Q1. 裏拍はどこ? 16マスのグリッドでいうと、拍あたまのマスから何マスあと?

Q2. 表打ちと裏打ち、はずんで聞こえるのはどっち? 🥁との関係でいうと何がちがう?

Q3. シンコペーション(食う)を、②と④の道具のことばで説明すると?

ピヨ鳥

答え合わせピヨ!

💡 答えを見る

A1. 拍と拍のちょうどまんなか、「1と2と…」の「と」。グリッドでは拍あたまから2マスあと(8分音符1個ぶん)。

A2. 裏打ち。表打ちは🥁と「いっしょ」に鳴り、裏打ちは🥁と「かわりばんこ」に鳴るから、ラリーみたいにはずむ。

A3. 裏に置いた「タ」を「ー」(タイ)でのばして、次の表拍の線をまたぐ=次の表を食う。半拍早く音が始まるので、前へ引っぱられる推進力が出る。


この回の芯:音は拍の「あいだ」にも置ける。裏に置いてのばせば、リズムは前へ転がりだすシカ!