AOP ピヨ教材 ・ ハーモニー編

① うねり(ビート)
― ピッチのズレは「ワンワンワン」って聞こえるシカ ―

ハーモニーの土台のそのまた土台。「うねりをきく耳」をつくる回シカ

この回のゴールはひとつシカ。「2つの音のピッチがズレていると、音量が ワンワンワン とゆれて聞こえる」――これがうねりシカ。とちゅうの音の出るおもちゃでうねりを自分で運転して、最後はうねりが消える瞬間=「シーン」を耳だけで見つけられるようになるシカ!
カシカ
カシカ
声のしくみにくわしい先生。語尾は「〜シカ」。やさしく導くシカ。
ピヨ鳥
ピヨ鳥
学ぶ気まんまんの生徒。語尾は「〜ピヨ」。ときどき大胆にボケる。
📌 0. まず30秒まとめ
ピヨ鳥

ハーモニー編ってことは、ついにハモれるようになるピヨ!? 結論はやく!

カシカ

その入り口の回シカ!30秒でまとめるシカ。

  • 2つの音のピッチがちょっとだけズレていると、音量がワンワンワンとゆれて聞こえる。これがうねりシカ。
  • うねりの速さはズレの大きさそのもの。ズレが小さいほどゆっくりになって、ピッタリ合うと消えて「シーン」シカ。
  • うねりをきけるようになると、自分のピッチのズレに気づけて直せる → ハモリがよくなるシカ。
  • 理科の教科書では「うなり」、英語では beat(ビート)。AOPでは「うねり」とよぶシカ。
🌊 1. うねりってなに? ― 音の「足し算」で起きること
ピヨ鳥

音量がワンワンゆれる…? だれかがこっそりボリュームのつまみを回してるピヨ?

カシカ

だれも回してないのに勝手にゆれるのが、うねりのふしぎなところシカ。

基礎知識編①でやったとおり、音は空気のふるえの波シカ。2つの音を同時に鳴らすと、空気の中で波は足し算されるシカ。

  • 波の山と山が重なると → 強めあって大きくなる
  • 波の山と谷が重なると → うちけしあって小さくなる

そして2つの波の速さ(ピッチ)がちょっとだけちがうと、重なり方が「そろう → ズレる → またそろう」をくりかえすシカ。

だから音量が大きい・小さいを往復して、ワンワンワンと聞こえるんだシカ。

波A(ちょっと低い音) 波B(ちょっと高い音) 波A + 波B(同時に鳴らすと…) ワン! ワン! 山と谷がぶつかってうちけしあうところ(小さくなる)
🦌 カシカの図解:波A(緑)と波B(青)はほんのちょっとだけ速さがちがうシカ。足し算すると、そろったところは大きく(ワン!)、ズレたところはうちけしあって小さくなるシカ。
ピヨ鳥

だれもさわってないのに音が勝手にワンワンする…。ところで「うねり」って、「うなり」とはちがうの? 猫が「ウ〜〜」ってやるあれかピヨ?

カシカ

いいところに気づいたシカ! この現象、理科の教科書では「うなり」、英語では beat(ビート) とよばれているシカ。

AOPでは「うねり」というよび方で通しているシカ。よび名はちがっても、ぜんぶ同じ現象のことシカ。このノートでも「うねり」でいくシカ。

⏱ 2. うねりの速さ=ズレの大きさ
ピヨ鳥

ワンワンの速さって、なにで決まるピヨ? 気分?

カシカ

気分じゃないシカ、シカシカ! ここがこの回いちばんの法則シカ。

1秒あたりのワンワンの回数 = 2つの音のズレ(Hz)そのもの

  • 220Hz と 223Hz → ズレ3Hz → 1秒に3回ワンワンワン
  • 220Hz と 221Hz → ズレ1Hz → 1秒に1回、ゆったり ワ〜ン
  • 220Hz と 220Hz → ズレ0 → うねりゼロシーン

うねりのかたちを図にするとこうシカ。

ズレ 4Hz 1秒に4回 ワンワンワンワン ズレ 1Hz 1秒に1回 ワ〜〜ン ズレ 0Hz うねりゼロ = シーン✨ ←― 1秒 ―→
🦌 カシカの図解:音量のゆれ(うねり)のかたちシカ。ズレが小さいほどワンワンはゆっくりになって、ズレ0でまっすぐ=シーンになるシカ。

ひとつ補足シカ。ズレが半音ぶん(十数Hz)くらいまで大きいと、ワンワンが速すぎて数えられなくて、ザラザラしたにごりに聞こえるだけシカ。

ズレが半音より小さくなってくると、はじめて「ワンワンワン」というリズムのようなゆれとして聞こえてくるシカ。

🎧 3. うねりマシンで聴いてみよう
カシカ

ここからが本番シカ! 下のうねりマシンで、ズレを自分の手で運転してみるシカ。

1つ目の音は「ラ」(220Hz)に固定、2つ目の音をスライダーでズラすシカ。

🌊 うねりマシン ― ズレを自分で運転する

「▶ 音を出す」で2つの音が同時に鳴るシカ。スライダーで2つ目の音のピッチを動かして、ワンワンの速さが変わるのを耳と目で確かめるシカ。オレンジの波は「音量のゆれ」の実況中継シカ。

220.0 Hz(ラ・固定)
224.0 Hz

220.0Hz と 224.0Hz → ズレ 4.0Hz → 1秒にワンワン4回

💡 ズレを0にちかづけていくと…ワンワンがだんだん間のびして、最後にスーッと消えるシカ。その瞬間がピッタリシカ。音が出ないときは端末のマナーモード・音量を確認シカ。

ピヨ鳥

ほんとだ! ズレを小さくしていくと、ワンワンワン…ワン……ワ〜〜ン……って間のびして、最後スーッて消えた! ちょっときもちいいピヨ…!

カシカ

その「消えた瞬間」こそ、2つのピッチがピッタリ合った瞬間シカ。逆にいうと――うねりが聞こえているあいだは、まだピッチが合っていないということシカ。

うねりは「ズレてるよ」を教えてくれる天然のチューナーなんだシカ。

🎯 4. シーンをさがせ! ピッタリ合わせゲーム
カシカ

じゃあ今度は数字なしでやってみるシカ。ターゲットの音はランダム。たよれるのは耳だけシカ。

ワンワンが「ゆっくりになる方向」へスライダーを動かして、うねりが消える場所=シーンを探すシカ!

🎯 シーンをさがせ! ― 耳だけでピッタリ合わせるゲーム

「▶ 音を出す」で、ターゲットの音キミの音が同時に鳴るシカ。スライダーでキミの音を動かして、ワンワンが消えたまま1秒キープできたらクリアシカ。数字はひみつシカ。

▶ を押してスタートシカ

💡 コツ:まず大きくズラして速いワンワンを作ってから、「ゆっくりになる方向」へじわじわ動かすシカ。行きすぎるとまた速くなるシカ。

ピヨ鳥

最初ワンワンうるさかったのが、だんだんゆっくりになって…ピタッと止まると、ほんとに「シーン」ってするピヨ…! 2つの音が1つに溶けたみたい!

カシカ

その「溶けて1つになる」感覚と「シーン」の静けさ――これを体験として知っていることが、ハモリの最強の武器になるシカ。目指すゴールの音を、もう耳が知っているからシカ。

🤝 5. うねりがきけるとハモリがうまくなる
ピヨ鳥

ゲームは楽しかったけど…これがなんで「ハモリがうまくなる」につながるピヨ?

カシカ

クワイアで、となりの人と同じ音(ユニゾン)を歌っている場面を思いうかべてほしいシカ。もしピッチが少しズレていたら――さっきのマシンと同じで、2人の声のあいだにうねりが出ているシカ。

ここが大事なところシカ。うねりっぱなしの響きに慣れてしまった耳は、うねりに気づけないシカ。ズレていても「こういうものかな」と素通りしてしまうシカ。

でも、うねりをきける耳があれば――

  • 「あ、いまうねってる」と気づける
  • ピッチを寄せると、ワンワンがゆっくりになるのがわかる(=近づいてる合図)
  • うねりが消えたらピッタリ。「シーン」と溶けあう

という直し方の手順そのものが手に入るシカ。「うねりを認知できるとピッチがよくなる」のは、この道具を持てるからなんだシカ。

AOPの対面練習では、オタマトーンのような楽器を2本ならべて、声を出さずに「うねりを自分で作って → 消す」練習をすることがあるシカ。楽器がなくても、このページのうねりマシンシーンをさがせゲームで同じ耳のトレーニングができるシカ。まずは声より先に、耳シカ。
ピヨ鳥

じゃあ、ちがう音どうしでハモるときは? 音がちがうなら、うねりは関係ないピヨ?

カシカ

それが関係大アリなんだシカ! 基礎知識編①でやったとおり、ひとつの声の中には倍音のタワーが入っているシカ。

ちがう音どうしのハモリでは、おたがいの倍音と倍音がすぐ近くで鳴って、そこでうねるシカ。ハーモニーが「にごる」か「とけあう」かの正体のひとつがこれシカ。

このつづきは、純正律と平均律の話でくわしくやるシカ。おたのしみにシカ!

✅ 6. たしかめクイズ
カシカ

さいごに3問だけ確認シカ。声に出して答えてみてシカ!

Q1. うねり(ワンワンワン)の正体は、なにが起きている現象シカ?

Q2. 220Hz と 224Hz を同時に鳴らすと、1秒に何回ワンワンするシカ?

Q3. うねりが完全に消えて「シーン」となったとき、2つの音はどうなっているシカ?

ピヨ鳥

答え合わせピヨ!

💡 答えを見る

A1. ピッチが少しズレた2つの音の波が足し算されて、強めあい・うちけしあいをくりかえし、音量がゆれている現象ピヨ(シーン1)。

A2. ズレが4Hzだから1秒に4回ピヨ。ワンワンの回数=ズレのHzそのものピヨ(シーン2)。

A3. 2つのピッチがピッタリ合っているピヨ。うねりが聞こえるうちは、まだ合っていない合図ピヨ(シーン3・4)。

🎁 7. おまけ:3度ハモリ・5度ハモリとうねり
ピヨ鳥

ユニゾンはわかったピヨ。でもゴスペルといえば3度とか5度のハモリピヨ? 音の高さがちがったら、ワンワンで合わせる作戦は使えないんじゃ…

カシカ

それが、つかえるんだシカ! ひみつは基礎知識編①の倍音のタワーシカ。

たとえば5度ハモリ――「ラ」(220Hz)と、その5度上の「ミ」(330Hz)は、周波数がきれいな整数比 2:3 になっているシカ。それぞれの倍音をならべてみると――

  • うた1(220Hz)の倍音: 220・440・660・880・1100・1320
  • うた2(330Hz)の倍音: 330・660・990・1320

660Hz と 1320Hz が共有倍音として、ぴったり同じ場所で重なるシカ。

共有倍音! ここがぴったり重なる うた1(220Hz)の倍音 220 440 660 880 1100 1320 うた2(330Hz=5度上)の倍音 330 660 990 1320 → 音の高さ(周波数)
🦌 カシカの図解:5度ハモリ(220Hz×330Hz)では、660Hzと1320Hzで倍音どうしがぴったり重なるシカ。ここが「とけあい」ポイントシカ。

3度ハモリでも同じシカ。きれいな長3度は比が 4:5 で、220Hzと275Hzなら 1100Hz で倍音が重なるシカ。

そして――ハモリがピッタリのとき、共有倍音は1本に溶けてシーン。どちらかのピッチがズレると、共有倍音どうしがずれて、そこでうねりが出るシカ!

🎼 ハモリうねりマシン ― ハモリのズレも自分で運転する

「▶ 音を出す」で2つの声(それぞれ倍音入り)が同時に鳴るシカ。ユニゾン・3度・5度を選んで、スライダーで2つ目の音をズラすと、共有倍音のワンワンが出てくるシカ。オレンジの波は「音量のゆれ」の実況中継シカ。

220.0 Hz(ラ・固定)
330.0 Hz

220.0Hz と 330.0Hz(きれいな5度)→ 共有倍音 660 vs 660 → シーン…✨

💡 きれいな3度・5度に合っているあいだはシーン、スライダーでズラすと共有倍音(5度なら660Hzあたり)がワンワン言い出すシカ。ズレを0にもどすと、またスーッととけあうシカ。音が出ないときはマナーモード・音量を確認シカ。

ピヨ鳥

5度をちょっとズラしたら、奥のほうでワンワン言い出したピヨ…! 音の高さはちがうのに、うねりで「ズレてる」ってわかるんだピヨ! もどすとスーッて溶ける…これはくせになるピヨ…

カシカ

そういうことシカ。ユニゾンは基音どうし、ハモリは倍音どうしがうねる――だから3度でも5度でも、うねりをきける耳がハーモニーを磨いてくれるシカ。

どの音の組み合わせがどれだけきれいに重なるか、の深掘りが純正律と平均律の話シカ。次回のおたのしみシカ!

🧪 じっけん室 ― 2人の声が「重なる」のを見てみよう

家族や友だちと2人で、同じ「アー」をのばしながらマイクに入れてみるシカ。スペクトラムの左端に基音の山が2本見えたら、それがズレの正体シカ。耳でワンワンを聞きながら、2本の山が1本に重なるところを探してみるシカ!

🧪 じっけん室をひらく

この回の芯:うねりをきけるようになりましょう。うねりは「ズレてるよ」を教えてくれる天然のチューナーシカ。ワンワンがゆっくりになる方向へ寄せて、消えた先の「シーン」――あの静けさが、ハーモニーの入り口シカ!