AOP ピヨ教材 ・ 基礎知識編
①からずっと使ってきた「音色」ということば。一歩引いて、耳の側からその正体を分解するシカ
いまさらだけど、「音色」って①からずーっと出てきてるピヨね。ぶっちゃけ何ピヨ? えらい人がちゃんと決めてるんでしょ?
それが意外と、ちゃんとは決まっていないんだシカ! 30秒でまとめるシカ。
音の印象は大きく3つ――高さ(ピッチ)・大きさ(音量)・音色シカ。
音色の正式な定義は「高さと大きさが同じなのに、ちがって聞こえるときの、そのちがい」。つまり引き算の定義シカ。
でも分解すれば聴き分けられるシカ。部品は大きく2つ――時間がたっても変わらない「色」(倍音のバランス。①でやったやつ)と、時間の中でうごくもの(出だし・ゆれ・終わり方)シカ。
おまけの驚き:じつは「高さ」そのものも色を持っているシカ。あとで耳で確かめるシカ。
「ちゃんと決まってない」ってどういうことピヨ!? 音の専門家の辞書にはなんて書いてあるピヨ?
世界の音響の標準として使われている定義を、やさしく訳すとこうなるシカ。「同じ高さ・同じ大きさで聞かせたのに、それでも『ちがう音だ』と聞き分けられるとき、その聞き分けのもとになっている性質」。
よく読むと、これは「音色とは何か」を言っていないシカ。「高さでもない、大きさでもない、のこり全部」という引き算でしか決まっていないんだシカ。
のこり全部って、ずいぶん雑ピヨ! おもちゃ箱に「その他」って書いてつっこむやつピヨ!
じつは研究者たちも、ずっと同じツッコミをしてきたシカ。「この定義は、音色が何でないかしか教えてくれない」「なんでも入れるその他の箱だ」と言われ続けているんだシカ、シカシカシカカカカ。
でも、あきらめる必要はないシカ。箱の中身をひとつずつ取り出して、名前をつけて、耳で確かめる――そうすれば「その他の箱」はちゃんと整とんできるシカ。それがこの回の作戦シカ!
まず、定義そのものを体験するシカ。「高さと大きさが同じなのに、ちがって聞こえる」音を用意したシカ。
①でやったとおり、声や楽器の音は基音+倍音のタワーで、どの倍音が強いかのバランスが「色」だったシカ。
下のボタンは、ぜんぶ同じ高さの「ラ」・だいたい同じ大きさで、倍音のレシピだけを変えてあるシカ。
ほんとだ…ぜんぶ同じ「ラ」なのに、まったく別の音に聞こえるピヨ。この「ちがい」が音色ってことピヨね。
そのとおりシカ。そして大事な気づきがひとつあるシカ。いま聴いたちがいは、鳴らしっぱなしにしても変わらないシカ。「ぎらぎら」はずっとぎらぎら、「まろやか」はずっとまろやか。
こういう、時間がたっても変わらないタイプのちがいを、この講座では「色」と呼ぶことにするシカ。正体は倍音のバランス。これが音色の1つめの部品シカ。
1つめってことは…2つめがあるピヨね? もったいぶらずに出すピヨ!
2つめは時間の中でうごくものシカ。ひとつの音には、かならず時間の流れがあるシカ。
さっきの「色」は時間の外にあったけど、こっちは時間の中にしかないシカ。
実験してみるシカ――倍音レシピはまったく同じで、出だしだけ変えたらどう聞こえるか。
出だしだけで楽器が変わって聞こえるピヨ!? 中身は同じなのに、詐欺ピヨ!
詐欺じゃなくて、耳がそれだけ時間の側を重く聴いている証拠シカ。そして歌にとって、この時間の側はものすごく大事シカ。
歌い出しのらくさ、音から音へのつなぎのなめらかさ、ビブラートのゆれ、フレーズの消え方――聴き手が「うまい!」「気持ちいい!」と感じるものの多くは、時間の側にあらわれるシカ。
たとえば⑥でやった「押しすぎ」の声を思い出してシカ。のどをぎゅっと押しつけると、色の側では温かみ(低い倍音)が減ってビリビリ(高い倍音)が増えるシカ。
同時に時間の側では、音から音への移動がぎこちなくなる。ひとつの体の使い方が、2つの窓の両方に証拠を残すんだシカ。だから部品に分けて聴けると強いシカ。
色と時間、2つの部品はわかったピヨ。…ところで、高さと大きさは音色に関係ないんだよね? だって最初に引き算したんだし。
いいところに気づいたシカ! じつはそこが引き算の定義のいちばんあやしいところで、この回いちばんの驚きポイントシカ。高さと色は、完全には切りはなせないんだシカ。
たしかめ方はシンプルシカ。倍音がまったくない「基音だけの音」を鳴らして、高さだけを動かしてみるシカ。
倍音のバランスは「基音1本きり」のまま変わらないから、もし色が変わって聞こえたら――それは高さそのものが持っている色ということになるシカ。
基音1本だけなのに、上げていくと母音が変わるみたいに聞こえるピヨ…! 「うー」が「おー」になって「あー」に開いていくピヨ!
それが「高さそのものが持っている色」シカ。倍音ゼロのシンプルな音にも、ちゃんと色があって、しかも周波数で決まるんだシカ。
もっと大事なのはここからシカ。「声っぽい音」に戻して聴きくらべてみてシカ。上に倍音がのって複雑な音になっても、基音の色は消えずに、音色の土台として残っているのがわかるシカ。
ここで③のフープを思い出してほしいシカ。F1の山に基音(H1)が乗ると「まるく深い、ホーという音色」になったシカ。
あれの正体は「基音がぐっと強くなった声=『う』っぽい暗く深い色が濃く出た声」だったんだシカ。高さの色を知ると、フープの音色がなぜ「まるく深い」のか、もう一段くっきり見えるシカ。
なんだか「その他の箱」の中身が、だいぶ整とんされてきたピヨ!
地図にまとめるシカ。
最後に、耳の使い方の話をひとつシカ。音色というと「ちがい探し」に使いがちだけど、逆向きの聴き方もできるシカ。
声のタイプがぜんぜんちがう歌い手どうしでも、「基音がしっかりしている」「出だしがらく」みたいな共通の部品は聴き取れるシカ。
部品ごとに聴けるようになると、「なんかいい声」が「基音が豊かで、出だしがらくで、ゆれが安定している」みたいに、体の使い方につながることばで言えるようになるシカ。それが「聴く耳」の第一歩シカ。
3問チェックシカ! 声に出して答えてみてシカ。
Q1. 音色の正式な定義は、何と何を「そろえたのに残るちがい」のことシカ?
Q2. 音色の2大部品は「時間で変わらない色」と、もうひとつは何シカ?
Q3. 基音だけの音を、低い方から高い方へ動かすと、色はどう変わって聞こえたシカ?
答え合わせピヨ!
A1. 高さと大きさピヨ。そろえても聞き分けられる「のこりのちがい」が音色ピヨ(シーン1)。
A2. 時間の中でうごくもの――出だし・のばしている間のゆれ・終わり方ピヨ(シーン3)。
A3. 暗い「う」っぽい色から、口が開いていくみたいに「お→あ」っぽい明るい色へ変わったピヨ(シーン4)。
🧪 じっけん室 ― 同じ高さのまま、色だけ変えてみよう
マイクをONにして、同じ高さで「うー」⇄「あー」と切りかえてみてシカ。高さ(基音の位置)は動かないのに、倍音のタワーの形=「色」だけが変わるのがリアルタイムで見えるシカ。今日の「引き算の定義」を、自分の声で再現できるシカ!
🧪 じっけん室をひらく