AOP ピヨ教材 ・ 基礎知識編

⑤ フォルマントチューニング
― F1・F2を動かす「3つの支配要素」を手に入れるシカ ―

②で母音=F1・F2の山の置き場所、③④で山×倍音の出会いと学んだシカ。今回はその山を、自分の意志でどう動かすかシカ。

フォルマント(F1・F2)は口やのどの形でできる「倍音を強める山」シカ。じゃあその山は、体のどこを動かすと動く? ――これがフォルマントチューニングの中身シカ。今回はF1を支配するものF2を支配するものを、本物の声道(せいどう=のどから口までの、声の通り道の管)の断面図で見て、最後に声道シミュレーターで自分の手で山を運転するシカ。これが分かると、③フープ・④イェールが「偶然の出会い」から「狙って作る音色」に変わるシカ!
カシカ
カシカ
声のしくみにくわしい先生。語尾は「〜シカ」。やさしく導くシカ。
ピヨ鳥
ピヨ鳥
学ぶ気まんまんの生徒。語尾は「〜ピヨ」。ときどき大胆にボケる。
📌 0. まず30秒まとめ
ピヨ鳥

フォルマント「チューニング」…ギターの弦を巻くやつピヨ? のどにペグは付いてないピヨ!

カシカ

ペグの代わりが「口とのどの形」シカ! F1・F2の山は、体のどこを動かすと動くか――それだけ覚えれば運転できるシカ。

30秒でいくシカ。

  • F1を支配するのは 口の開き(あご)+舌の高さシカ。開けて舌を下げるほどF1↑(=母音が「開く」)シカ。
  • F2を支配するのは 舌の狭め(いちばん細いところ)の前後シカ。前(くちびる寄り)ほどF2↑シカ。
  • くちびるの丸めは管を長くして F1もF2も↓(とくにF1)シカ。

この3つを動かして山を狙った倍音に合わせにいくのがフォルマントチューニングシカ。ひとつずつ本物の断面で見にいくシカ!

😮 1. F1の支配要素 ― 口の開き+舌の高さ
ピヨ鳥

②で「口を開けるとF1が上がる」って出てきたピヨ。あれ、あごだけの話なの?

カシカ

あごは半分シカ。F1を上げるのは「口を開ける」と「舌の背(せ)を下げる」の2人がかりシカ。

この2つはセットで母音の「開き/狭め」を作るシカ。開けて舌を下げる=開いた母音=F1↑閉じて舌を上げる=閉じた母音=F1↓シカ。

本物の断面で見くらべるシカ。ピンクが舌シカ。

舌が高い

「い」=閉じた母音
舌が高く口はせまい → F1 ひくい

舌が下がる

「あ」=開いた母音
あごが開き舌が下がる → F1 たかい

← 閉じる(F1↓)  口の開き+舌の高さ  開く(F1↑)→

🐤 本物の声道の断面(音声学の教材図・パブリックドメイン)で、あご+舌背を下げるほど口側が広がってF1が上がるのが見えるシカ。F1は「あご」単独じゃなくあご+舌の高さの合わせ技シカ。

💡 コツ:あごの開けだけではF1は上がりきらないシカ。開いた母音では舌の背もいっしょに下げるのが本命シカ(F1は口の開き+舌背下げで上がる)。

👅 2. F2の支配要素 ― 舌(狭め)の前後
ピヨ鳥

じゃあF2は? 開き具合はもうF1に取られちゃったピヨ。舌に残ってる仕事って?

カシカ

残ってるのは「舌のいちばん細いところ(狭め)を前後どこに作るか」シカ! 舌を前に寄せると口の前の部屋が小さくなってF2↑、後ろに引くと奥で細くなってF2↓シカ。

同じ「い」と「う」でも、舌の前後がまるで違うシカ。

狭めが前

「い」=前寄りの舌
狭めがくちびる寄り → F2 たかい

狭めが奥

「う」=奥寄りの舌
狭めがのど寄り → F2 ひくい

← 奥(F2↓)  舌の狭めの前後  前(F2↑)→

🐤 青い輪が舌の狭め(いちばん細いところ)シカ。「い」は狭めが前(くちびる寄り)でF2が高く、「う」は狭めが奥(のど寄り)でF2が低いシカ。舌全体というより「細いところをどこに置くか」がF2の正体シカ(舌を前に寄せる=前の部屋が小さくなりF2↑)。
ピヨ鳥

F1は「開き」、F2は「舌の前後」…担当がはっきりしたピヨ! 運転できそうな気がしてきたピヨ。

👄 3. くちびるの丸め&ひとつの原理
カシカ

3つめのハンドルがくちびるの丸めシカ。くちびるを丸めて突き出すと管が長くのびるシカ。

ホースを継ぎ足すと響きが低くなるのと同じで、F1もF2も下がる(とくにF1)シカ。

「う」「お」がまるく暗いのはこれシカ。

声道の断面図。くちびるが赤くハイライトされている

赤いところがくちびる。丸めて前に突き出す=声道が長くなる → 山が2つとも左(低い方)へ

🐤 赤くぬってあるのがくちびるシカ。ここを丸めてすぼめながら前に突き出すと、突き出した分だけ管が長くなる――ホースを継ぎ足すのと同じで、長い管ほど低く響くからF1もF2も下がる(とくにF1)シカ。「う・お」がまるく暗いのはこれシカ。

そしてタネ明かしシカ。F1・F2はバラバラの仕組みじゃなく、じつは「舌の狭めを管のどこに作るか」というひとつの原理から出てくるシカ。

狭めが前(くちびる寄り)→ F1↓F2↑ / 狭めが後ろ(のど寄り)→ F1↑F2↓

後ろの部屋 大 狭め=前

「い」=狭めが前(くちびる寄り)
F1 ↓F2 ↑

前の部屋 大 狭め=後ろ

「あ」=狭めが後ろ(のど寄り)
F1 ↑F2 ↓

狭め(青い輪)を前に置くか後ろに置くか――そのひとつで F1 も F2 もいっしょに決まる(シーソー)

🐤 同じ本物の管でも狭め(舌のいちばん細いところ)を前に置くか後ろに置くかで、F1とF2がシーソーのように逆に動くシカ。「い」は前狭め=後ろの部屋が広い(F1↓F2↑)、「あ」は後ろ狭め=前の部屋が広い(F1↑F2↓)――これが母音の正体シカ。さっきのくちびるの丸めは、その上から両方を下げる味つけシカ。

🐤 正直な注釈:「開き=F1、舌の前後=F2」とスッパリ分けると運転しやすいけど、本当は上のひとつの原理で両方いっしょに動いてるシカ。あごを開くと舌もつられて動くし、狭めを動かせばF1も少し動く――完全には独立してないシカ。でも実技は「どっちが主役か」で切れば十分シカ。

🎧 4. 声道シミュレーターで動かす
カシカ

証拠を聴かせるシカ! このシミュレーターは声道を1本の管として実際に音の計算をして山(F1・F2)の場所を出しているシカ――換算表のインチキじゃないシカ。

3本のハンドル「開き」「舌の前後」「丸め」を動かすと、下の山のグラフが動いて、音も変わるシカ。

👄 声道シミュレーター ― 開き・舌の前後・丸めで山を運転する

▶ で音を出して、3本のスライダーを動かしてシカ。山グラフは口の形(声道)から実際に計算したF1(オレンジ)・F2(青)シカ。[あ]〜[お] は口の形のお手本シカ。

👄 いま「あ」っぽい音シカ!
😮 開き(あご+舌の高さ)
とじるあける
F1 — Hz
👅 舌の前後(狭めの位置)
奥(のど寄り)前(くちびる寄り)
F2 — Hz
👄 くちびるの丸め
通常すぼめて突き出す
0 %

💡 おすすめ実験:[い] を押してから「舌の前後」だけをゆっくり奥(左)へ――F2の山が左に流れて「う」に近づくシカ。次は「丸め」だけを上げて、山が2つそろって左へ動くのを見るシカ。音が出ないときは端末のマナーモード・音量を確認シカ。

ピヨ鳥

ハンドルさばきで母音が作れたピヨ! 舌の狭めを前に動かすと、ちゃんと青い山が右に行くピヨ。口の運転、免許取りたてなのにうますぎるピヨ!

カシカ

それシカ! 管の形(声道)→山の場所(F1・F2)→母音が1本につながったシカ。

声道の形の仕事は、けっきょく山の場所を決めることだと体で分かったシカ。これがこの章のキモシカ。

🎯 5. なぜ「チューニング」?
ピヨ鳥

ハンドルは分かったけど、なんで「チューニング(調律)」なんて呼ぶピヨ? 何に合わせるの?

カシカ

合わせる相手は倍音シカ。曲の中では歌う高さはメロディで決まってるから、倍音のタワー(H1・H2…)の場所は自分では選べないシカ。

動かせるのは山のほうだけ。だから――

決まった倍音に向かって、3つのハンドルで山を寄せていく=フォルマントチューニングシカ。

  • 閉じ気味+丸め → F1↓ → H1と出会う=③フープの、まるく深い音色シカ。
  • パカッと開ける → F1↑ → H2と出会う=④イェールの、明るく力強い音色シカ。
AOPの実技はぜんぶこの道具箱シカ――開き=F1のハンドル、舌の前後=F2のハンドル、丸め=両方↓のハンドル。③フープも④イェールも「F1のハンドルをどっちに切るか」の違いだけシカ。狙った倍音に山を合わせにいくフォルマントチューニング、今日から意識して使うシカ!
✅ 6. たしかめクイズ
カシカ

4問チェックシカ!

Q1. F1を上げたい。口はどうする? あごだけでいいシカ?

Q2. 舌の狭めを前(くちびる寄り)に作ると、主に動くのはF1?F2? どっち向きシカ?

Q3. くちびるを丸めて突き出すと、F1・F2はどうなるシカ?

Q4. イェールの音色にしたい(F1をH2に合わせたい)とき、口はどうするシカ?

ピヨ鳥

答え合わせピヨ!

💡 答えを見る

A1. あごを開けるだけでは上がりきらないピヨ。あごの開き+舌の背を下げるの2人がかりがF1のハンドルピヨ(シーン1)。

A2. F2が上がるピヨ。舌の狭めの前後=F2のハンドルで、前に寄せるほどF2↑ピヨ(シーン2)。

A3. 管が長くなってF1もF2も下がるピヨ(とくにF1)。「う・お」がまるく暗いのはこれピヨ(シーン3)。

A4. パカッと開けるピヨ。F1を上げてH2を迎えにいく=イェールのフォルマントチューニングピヨ(シーン5)。

🧪 じっけん室 ― 自分の口でハンドルを切ってみよう

「あー」と言いながらあごだけをゆっくり開け閉めすると、F1の山が上下するのが自分の声で見えるシカ。次は「いーうーいーうー」と舌とくちびるだけ動かすと、今度はF2が大移動するシカ。今日の3つのハンドル、全部自分の声で確認できるシカ!

🧪 じっけん室をひらく

この回の芯:F1=口の開き+舌の高さ、F2=舌の狭めの前後、丸め=両方↓。この3つで山を倍音に合わせにいくのがフォルマントチューニング。基礎知識編はこれでひと区切り――ここから先は歌の中で使いこなす番シカ!