AOP ピヨ教材 ・ AOP編
「終わってるのに、終わらない」。グルーブの正体と、グリッド線を裏拍に引きなおす話
グルーブ! ノリノリのことピヨ! はい解散!
解散しないシカ! 30秒でいくシカ。
でもグルーブって、みんな「あるある」って言うけど、だれも説明してくれないピヨ。
そうシカ。世間ではグルーブは「感じるもの」で止まっていることが多い。だからAOPでは、ちゃんと言葉にして共有するシカ。
AOP主催の岩崎さんの定義:グルーブ=音楽が「終わってるのに終わらなくなる」感覚。
言いかえると、いま出している音符が次の音符のために存在していて、聴いている人に「次が来るぞ」と期待させ続けている状態シカ。
岩崎さんはこれを「お手玉のように音が続いていくこと」とも言うシカ。
お手玉? 音楽の話ピヨよね? 玉はどこピヨ?
お手玉って、玉が手を離れて宙にある瞬間も「次にキャッチする」ことが約束されてるから、ずっと続いていくシカ。あれと同じことが、フレーズの語尾で起きるんだシカ。
たとえば語尾をクレッシェンド(だんだん大きく)して、バスッ!と突然音を消して休符(きゅうふ=音を鳴らさないお休みの時間)を作ると——「ここで休符が始まった!」がはっきり聞こえるシカ。
すると休符そのものがリズム情報として働きだす。つまりその人は、フレーズを終わらせるたびにリズム情報が1個増える。
だから——終わってるのに、終わらなくなる。語尾で終わらせたはずなのに、その語尾が次のフレーズを期待させ続ける燃料になるんだシカ。
0.01秒後の自分がそのリズム情報を受け取って、また音楽を作っていく。自分で自分のリズムをサポートしている状態シカ。
この「語尾クレッシェンド→バスッと休符」の技には エネルギーアーチ という名前がついていて、次の②でじっくり体感するシカ。
多くの日本人的には「語尾=終わり」だと思ってたピヨ…。語尾が燃料とは、発想の逆転ピヨ。
でも「感覚」って言われると、どう練習すればいいかわからないピヨ。感覚は筋トレできないピヨ。
いい質問シカ。だから岩崎さんは、グルーブに必要な要素をブレイクダウン(分解)したんだシカ。
その結果生まれたのが、AOP編でこれから出てくる言葉たち——オフビート・エネルギーアーチ・ポケットシカ。
親分は感覚だけど、子分たちは練習できる具体的な技術。だから子分から攻めるんだシカ。
ちなみにグルーブを支配する大きな要素はリズムだけど、そのリズムを構成する要素にはフォルマントなどの音色も含まれる、というのが岩崎さんの見立てシカ。基礎知識編とつながってるんだシカ。
グルーブが親分で、子分から練習すればいいのピヨね。じゃあ最初の子分、オフビートくんを紹介してほしいピヨ!
まず定義シカ。
「表拍・裏拍」と同じ意味なのに、AOPであえてオンビート・オフビートと呼ぶのには理由が2つあるシカ。
理由1:「表と裏」という言葉だと、どうしても表が先に来る印象になる。でも on=地面に着地、off=地面から離れて宙にいると考えると、「offから始まる」が自然に想像できるシカ。
で、ここからが本題。ゴスペルやブラックミュージックは、オフビート(裏拍)から音楽が始まっていることがすごく多いシカ。
なのに多くの人は、心の中の「グリッド線」=リズムを測る基準線を、無意識に表拍に引いて聴いている。音が鳴ったら「そこがon」だと思いがちなんだシカ。
すると裏拍だらけのゴスペルは、ぜんぶ基準線からズレた「難解な曲」に聞こえる。逆にグリッド線を裏拍に引きなおすと、同じ曲が急にふつうに、気持ちよく聞こえるシカ。
おなじ景色なのに、定規の当て方で「ズレてる」が「ピッタリ」になるのピヨ!? 定規の詐欺ピヨ!
詐欺じゃなくて「解釈」シカ(笑)。オフビートから音楽が始まっている——この解釈に引っこすことが、グルーブへの最初の一歩なんだシカ。ほんとかどうか、耳でたしかめにいくシカ。
裏拍から歌い出すゴスペル風のフレーズ(合成音声)を1小節ループさせるシカ。うたはどちらのボタンでもまったく同じ音。
変わるのはグリッド線(📐カチカチ鳴るクリック音)の場所だけ。つまりさっきの「定規の当て方」を、そのまま音にした実験シカ。
う、うたは1ミリも変わってないのに、裏拍グリッドにしたら急に「ふつうのノリのいい曲」になったピヨ! 難解さが消えたピヨ!
それが「解釈の引っこし」シカ。音楽は1音も変わってない。変わったのはキミの頭の中のグリッド線だけ——グルーブの入り口は、耳より先に解釈なんだシカ。
クワイアで「走らないで〜!」ってよく言われるピヨ。メトロノームで特訓すればいいピヨ?
実はそこが今日いちばん大事な話シカ。走る(=テンポがどんどん速くなる)原因は、たいてい練習不足じゃなくてグリッド線の場所なんだシカ。
岩崎さんいわく「解釈が間違っている以上、どんなにメトロノームで練習しても永久に走り続ける」。逆もまた真なりシカ。
解釈さえ合っていれば、歌がまだ発展途上でも走ることはまずなくなる。「むしろ遅すぎて困ることがあるくらい」なんだそうシカ。
「グリッド線を裏に引きなおす」って言われても、頭でわかるだけピヨ…。体に入れる練習はないのピヨ?
あるシカ。オフビートカウントという練習シカ。やることはシンプル——曲に合わせて、ふつうより半拍(8分音符1つ分)早く「ワン・ツー・スリー・フォー」と声でカウントするシカ。
半拍早く数えると、「ワン」は4拍目の裏=次の1拍目の半拍まえに来る。ツーもスリーもフォーも、ぜんぶ裏拍に乗るシカ。
つまり自分のカウントが、いつも拍のまえに踏み切って、表に着地する形になる。「offから音楽が始まる」感覚を、口と体に直接インストールする練習なんだシカ。
でもなんで日本人は、わざわざ練習しないと裏拍に乗れないピヨ?
ひとつの理由は日本語そのものと言われているシカ。日本語は「た・こ・や・き」みたいに、すべての音をほぼ同じ長さ・同じ強さで刻む言語だから、「弱い音が先に来る」リズムを聴き取る耳が育ちにくいんだシカ。
いっぽう英語みたいな言語は、弱い音が強い音のまえに来るリズムでできてる。だからカウントを半拍早くして、「弱→強」「裏→表」の順番を口から体に入れなおすのがこの練習シカ。
下のマシンで体験するシカ。ドラムは同じまま、カウントの声(クリック)が乗る場所だけが切り替わるシカ。
オフビートカウント、最初は口がもつれたピヨ…! でも慣れると「ワンッ」で体が前に押し出されて、1拍目に着地する感じが気持ちいいピヨ!
その「押し出される感じ」が、オフビートから音楽が始まる感覚シカ。§4のグリッド切りかえが「耳の引っこし」なら、こっちは口と体の引っこしシカ。
🎵 きょうからできる練習 ― 裏拍クラップ
好きなゴスペル曲を流して、「1 と 2 と 3 と 4 と」の「と」だけで小さく手拍子してみるシカ。最初はズレてもOK。「と」が体の基準線(グリッド)になってきたら、曲の聞こえ方そのものが変わってくるシカ。慣れてきたら、手拍子のかわりに上のオフビートカウントを曲に乗せてみるのが次のステップシカ。
4問チェックシカ!
Q1. AOPでいう「グルーブ」とは、どんな感覚のこと?
Q2. ポケット・エネルギーアーチ・オフビートは、グルーブとどんな関係?
Q3. テンポが走ってしまう人が、メトロノーム特訓より先にやるべきことは?
Q4. オフビートカウントでは、「ワン・ツー・スリー・フォー」をどう数える?
答え合わせピヨ!
A1. 音楽が「終わってるのに終わらなくなる」感覚。いまの音が次の音への期待を作り続けている状態のこと。
A2. グルーブに必要な要素を分解して生まれた「子分たち」。グルーブは感覚だけど、子分たちは練習できる具体的な技術。
A3. グリッド線を裏拍(オフビート)に引きなおすこと。解釈が表拍グリッドのままだと、どれだけ練習しても裏の音が短くなって走り続けてしまう。
A4. ふつうより半拍(8分音符1つ分)早く数える。「ワン」が4拍目の裏に来て、カウント全体が裏拍に乗り、「offから始まる」感覚が体に入る。